1つ前に「静的ストレッチがパフォーマンスに与える影響は?」というタイトルの記事を書きました。
まだお読みでない方、先にそちらをおよみいただいてから、こちらの記事をお読みください。
前回の記事の結論だけ記載すると、
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運動前の静的ストレッチはパフォーマンスの低下・障害リスクを高めること言われていますが、実際はどうなのか?
論文や私がセミナーで試してみたところ、逆に片足立ちでのバランス能力が向上した。
これは、どのようなことが考えられるのか?
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今回は、私がセミナーで試してみた内容を考察します。
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□セミナー中に行った内容
①何もしないで、片脚立ちを行う。(最大60秒、得意な脚で行った)
②次に、ハムストリングスを60秒静的ストレッチを行わせてから、同じように片脚立ちを行う。
*最大60秒ですが、浮いている脚が地面についた時、支えている脚が動いてしまった時、計測終了。
①と②どちらが長時間立てたかを比較しました。
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考えられることを順におってみていきます。
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ハムストリングスが弛緩した
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□ハムストリングは弛緩したが、タイムが同じだった場合
・日頃から、ハムストリングを使わずに立っていた。
・ハムストリングのかわりの筋肉、もしくは他の感覚器で補った。
・タイムが同じでも、もともと60秒立っていられなかった人、特に10秒以下だった人は、ハムストリングの影響はなく、もともと片足立ちの能力が低かった。
□ハムストリングが弛緩して、タイムが短くなった場合
・片足立ちの際、ハムストリングの関与が高かった
・ハムストリングが弛緩したことにより、固有覚すべてが弛緩してしまった
□ハムストリングが弛緩して、タイムが長くなった場合
・運動学習の効果により向上した。
(1回目は右手で運動を行い、2回目は左手で運動を行わせた実験があります。結果は、左手は初めてにもかかわらず回数が向上しました。他の人で1回目を左手、2回目を右手で行わせても同じ結果で、2回目の方が回数は向上しました。)
・ハムストリングが弛緩したことにより、片足で最も働くべき股関節内転筋と外転筋の出力が上がった
・ハムストリングを固有覚として考えると、固有覚が有意でバランスをとっていたが、固有覚が弛緩したことにより、他の感覚器の機能が向上した
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まとめ
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私が思いついたことを羅列しただけですが、他にも理由があるかもしれません。
(ハムストリングが弛緩した場合を考察しましたが、ハムストリングが促通した場合もかんがえられるかもしれません)
上記であげた内容はエビデンスはありませんが、可能性を否定することもできないと思います。
ある運動に関与する筋肉を弛緩させることで、運動ができなってしまうのか?逆に向上させるのか?クライアントの運動能力を知る手段としても使えると思います。
単純にある特定の筋肉が弛緩したからパフォーマンスが落ちる、と考えるのではなく、弛緩させたからパフォーマンスがあがる可能性もある。
そのように考えることで、ウォーミングアップのバリエーションは広がるし、クライアントの能力を最大限に引き出すことにつながるのではないでしょうか。