前回の投稿では、チェストプレスの際、小指側をしっかりと握ると支えやすいというお話をしました。
今回は、なぜ小指側で支えるのか?理由を、足部の構造から考察していきます。
*足部・足関節のコンディショニング戦略セミナーにご参加いただいた方・もしくは動画を閲覧された方には復習となります。
足部は26個の骨から構成されます。
前後の剛性・左右の剛性は構造から見ていきます。
*剛性とは変形しづらい度合いのこと。変形が小さい時は剛性が高い。変形が大きい時は剛性が低いといいます。

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前後の剛性
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前後の剛性とは、つま先から踵の剛性となります。
足部の前後の剛性は、踵側が最も剛性が高く、つま先側は最も剛性が低い構造となっています。
踵側は踵骨という1つの骨で構成されるため剛性が高いことは容易に想像できると思います。
つま先側に行くにつれ、骨が小さくなる・関節の数が増えていくため剛性は低下していきます。
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左右の剛性
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左右の剛性とは、足部の内側と外側の剛性となります。
足部の左右の剛性は、外側が最も剛性が高く、内側は最も剛性が低い構造となっています。
構造を見てみると明らかですが、足部の内側は内側縦アーチがあり地面から浮いた構造となっているため剛性は低下します。
外側は外側縦アーチがありますが、地面に接地をしているため剛性は高くなります。
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足部の剛性
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足部の剛性をまとめると、踵の外側が最も剛性が高く・つま先の内側が最も剛性が低くなります。
母指球で支えることは、構造から考えると適切でないことがわかります。
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手で考えると
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足部の剛性を見てきましたが、手も同じ考えとなります。
2足歩行をする前の4足歩行時代は、手も足と同じ作用を求められたためです。
手の役割を見ていくと、足部と同じく外側の剛性は高く・内側の剛性は低くなります。
そのためチェストプレスを行う際は、小指側3本でしっかり握り、手のひらの外側に負荷がかかるように行うと支持性が高くなります。
(手のひらの外側・手のひらの手首より→足で考えると足部の踵側・外側となります)
では内側で握る場合はどんな場合でしょうか?
手は足部と比較をすると、支える役割よりも、指を握る・コントロールする役割が多くなります。
コントロールすることを操作すると表現をすると、内側の指で握るのは操作性が求められる時です。
はしやペンを持つ時は内側の3本の指で握ります。
これは操作性が求められるからです。
赤ちゃんの時は、まだ巧緻性が低いため指5本でスプーンを握ります。
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まとめ
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手の握り方を見ていきましたが、手の内側で重い物を支えている人は、手首・肘に傷害が発生する場合があります。
慢性的に手首・肘の違和感が解消されないクライアントがいた場合、患部だけでなく腕立て伏せなどを行わせ、手のどこに荷重をしているかを確認することも必要となってきます。