リリースのセミナーで筋肉をリリースする方法として、筋硬度・筋緊張(スパズム)・筋スティッフネス・他の組織の4つをご紹介いたしました。
現在、肩関節のセミナーに向けて資料を作成するにあたり、読んでいる書籍の中で筋攣縮と筋短縮の見分け方について書かれていたのでシェアしていきます。
*筋攣縮と筋緊張、筋短縮と筋スティッフネスがほぼ同じ用語だと思ってください。
筋攣縮・筋短縮の2つの用語が書籍で利用されていたので、ここでもそのまま利用して解説をしていきます。
○筋攣縮(spasm)とは、筋が痙攣した状態のこと。
○筋短縮とは、筋の伸長性が欠如した状態のこと。
筋攣縮と筋短縮の見分け方は
①圧痛所見の有無
②伸長位と弛緩位の緊張程度
③筋力低下と等尺性収縮時痛の有無
1つ1つ見ていきましょう。
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①圧痛所見の有無
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筋攣縮は、筋細胞外に発痛関連物質を放散し、高閾値機械受容器・ポリモーダル受容器の閾値を低下させる。
そのため、圧迫を侵害刺激として受容してしまうので、圧痛への閾値が低くなっている。
筋短縮は組織が変性し伸びにくくなってはいるが、組織としては安定しているため圧痛への閾値が高い状態である。
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②伸長位と弛緩位の緊張程度
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筋攣縮は、脊髄反射により持続的な痙攣が生じた状態であるため、関節肢位に関わらず、筋の緊張は持続的に高くなっている。
そのため、筋を短縮位にしても緊張は高い状態である。
(伸長位はさらに緊張は高くなる)
筋短縮は、筋の伸長性が低下した状態であるため、伸長位では緊張は高くなるが、短縮位では弛緩するので緊張は低くなる。
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③筋力低下と等尺性収縮時痛の有無
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筋攣縮は、生理学的な機能障害によってうまく筋力が発揮できず、筋力が低下する。
また、血管のスパズムをともなっているため静脈環流が停滞し、内圧が上昇している状態のため、強い等尺性収縮を強要するとさらに内圧が上昇し疼痛が出現しやすくなる。
筋短縮は、基本的に著名な筋力低下を認めず、筋内圧も上昇していない。そのため、強い等尺性収縮を行っても疼痛は出現しない。
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まとめ
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○筋攣縮
・押すと痛みを感じやすい
・縮んだ状態でも固く、伸ばすともっと固くなる
・筋力が低下していて、アイソメトリクスをすると痛みがでることがある
○筋短縮
・押しても痛みを感じにくい
・縮んだ状態の時は緩む、伸ばしたら固くなる
・筋力低下はみられず、アイソメトリクスをしても痛みはない
筋の問題を明確にすることで、最適なアプローチ方法を選択することができ、問題が改善される確率が高くなります。
複数の評価やアプローチを行い考察をすることの重要性を再認識しました。
○参考書籍
肩関節拘縮の評価と運動療法
監修:林典雄
運動と医学の出版社
