先日開催したセミナー参加者の姿勢を評価した際、学びになることがあったのでシェアします。
参加者AさんとBさん、ともに胸郭が左に変位していました。
○評価結果
・足関節と恥骨結合を比較するとほぼ同じ。
・恥骨結合と胸骨柄を比較すると胸骨柄が左に変位している姿勢。
考察の時間になぜ胸郭が左変位となっているのか?AさんとBさんそれぞれにお話を伺いました。
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○Aさん
いつも荷物を右手に持っている
○Bさん
いつも荷物を左手に持っている
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AさんとBさん同じ胸郭左変位ですが、荷物を持っている手は同じとはなりませんでした。
この問題を考察するにあたり、身体を支える戦略について復習します。
(姿勢評価かと分析セミナーで解説をしていますので、文章でなく動画で復習されたい場合は、セミナー動画を閲覧されてください)
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身体を支える戦略は3つあります。
①前後左右重さが均等
やじろべえは前後左右重さが均等であるため(図①)、外力をほぼ必要とせずバランスをとることができます。
②前後左右重さが均等でない
ケトルベルを振り上げた女性(図②)は、前後で重さは均等でないですがバランスがとれています。
この場合、考えるまでもないですが筋肉の出力することでバランスをとっています。
(部位によっては、靭帯などの組織で支えるケースもあります)
③手や脚など重さを利用し、前後左右重さを均等にする
こちらの女性(図③)は、手と脚を前後に出すことで重さを均等に近づけバランスをとっています。
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身体を支える戦略を踏まえ、AさんとBさんの姿勢を再度みてみます。
○Aさんは、いつも右手に荷物を持っている。
・胸郭を左に移動させることで、右側の荷物の重さとバランスをとろうとしている
→身体を支える戦略③
○Bさんいつも荷物を左手に持っている。
・荷物の重さによって胸郭が左に移動している。筋肉で重さを支えている。
(筋肉で支えないと、左側に身体が傾いてしまう。恥骨結合と胸骨柄が同じ位置だった場合、さらに筋肉の負担が強いことが予想される)
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まとめ
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胸骨柄が恥骨結合より左に変位しているという同じ現象でも、起きている理由は違うことがわかりました。
1つの現象だけで判断をしてアプローチをしても問題が解決されないことがあります。
代償動作はクライアントによって様々です。
複数の評価を行うとともに、クライアントの日常を聞いてみることが、問題解決につながると思います。


